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ごあいさつ

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 日本の物理学者「湯川秀樹」の言葉に「一日生きることは、一歩進むことでありたい」という言葉があります。実は、フランスの哲学者デカルトも似たようなことを言っています。「一日を大切にせよ。その差が人生の差につながる」。名言と言われる言葉の内容は、専門や時代、国を超えて共通であり、普遍的なのだと思います。

 私にとっての名言だけでなく、世界中の第二言語習得研究者が大切にしている言葉があります。

 1967年に「The significance of learners’ errors」というタイトルの研究論文を発表したP. Corderの言葉です。「学習者の誤用は重要である。彼らは、誤用を生みだすことによって、目標言語の規則を仮説検証し、習得を進めている。」と言っています。この言葉は、私が日本語を教え始め、彼らの誤用に興味を持ち、誤用分析研究を始めた1987年から現在までの34年間、変わらず、私にとっての名言ランキング、研究者部門では、不動の第一位を維持しています。

 

 この名言をモットーに、私たち、I-JAS(International corpus of Japanese as a second language)のプロジェクトチームは、世界17ヵ国20地域のデータ収集を行い、2020年3月にI-JASを完成させることができました。2012年に調査計画からスタートさせ、4年にわたるデータ収集調査、その後4年間の文字化作業、合計8年の年月を経て、1000名の日本語学習者のコーパスI-JASを構築しました。国内外の現地調査から文字化、成果発表など、関わってくださった協力者は、国内86名、海外33名、合計119名にもおよびました。

 

 私にとっては、学習者の言葉が収まっているI-JASは、宝石箱です。でも、宝石と同じで、箱に入れて眺めているだけでは、その素晴らしさに気づいてもらえません。 この宝石を使う人それぞれの用途で身につけ、飾って皆さまに見ていただくことによって、その宝石の価値が周りの人々に認めてもらえるのではないでしょうか。「宝石も磨かざれば、ただの石」ということわざもあります。これから、私たちと一緒にコーパスの中から思い思いの原石を拾い上げ、コツコツ磨いていきませんか。

 皆さまからこのI-JASのホームページに研究事例が届くのを心待ちにしたいと思います。

 

I-JAS プロジェクト 代表

迫田 久美子

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